晩秋から冬への道

すっかり雪が融けてしまった春の日を思い出した。
枯葉が顔を出し、笹が何ヶ月もの眠りから起き上がる。
緑が点々と見えるのは、赤松の葉。

広葉樹の少ない森を歩くと、時々そんなことを想う。
晩秋の風景は、私を春へ秋へと、揺らしてくれる。

少し足を延ばして、秋を追いかけた。
標高が下がると、まだ黄色や赤に輝く景色に出会える。
夕方の陽射しは、演出家のように、
広葉樹の一番美しい姿を捉えて、私に披露する。
見上げると、まだほんのり青い空。

冬の気配が、目に見えるほどに
近づいてきては、ゆっくり離れる。
ハラハラと、雪のように枯葉が舞い落ちて、
空がまた大きくなった。

森は、最後のろうそくの炎のように煌々と燃えながら、
今までの季節を、少しずつ消していく。

名残惜しい秋の色。
静かな白い森は、もうすぐだ。

HITOMI.



COPYRIGHT©protec



BackNumber1.